#823 GO,JET!GO!GO!/見よ、飛行機の高く飛べるを

この週末、観た演劇2本について感想。YSハートのブログ、12周年を迎える前としては最後の記事です。
今日は、両国エアースタジオにて「ゴー、ジェット!ゴー!ゴー!」を観ましたが、金曜日に池袋のシアターグリーンで1本観たので時系列で、先ず池袋のほうから感想です。


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ことのはbox第6回公演
見よ、飛行機の高く飛べるを

2018年2月14日(水)~18日(日)
※2月16日(金)19時の回観劇

作: 永井愛(二兎社) 演出:酒井菜月
会場: シアターグリーン BOX in BOX

春名風花/廣瀬響乃
工藤杏子/槇野レオナ/篠田美沙子/宮島はるか/関谷彩美/石塚咲妃
新田えみ/岡田コセ/三村伸子/兒島利弥
木村望子/加藤大騎/大久保洋太郎/長野耕士



「明治時代を生きる”新しい女性の生き方”を模索した少女達の青春群像劇」(フライヤーから)

池袋の劇場、自分には第2の故郷のようなもので(噺家のあいさつみたいですが、だいぶ親しんだ地域であることは確かですw)、シアターグリーンは、リラックスした気持ちで来られます。
10年前などと違うのは、東池袋駅から豊島区役所の建物に行って、外に出て、シアターグリーンまでの動線のスムーズな感じですね。

はるかぜちゃん等キャストさんらが演じる今回の舞台は、明治44年10月の名古屋の第二女子師範学校。
先ず、私の地元(厳密に言えば私は三河であって尾張でにゃーのですが)の方言、名古屋方言と三河方言が混ざるように言葉が行き交うのが心地よかったです。聞けば絶対、自分の故郷だとわかるので、方言というのは人の生き方にとって重いものなのだなあと感じます。

菅沼先生を演じる木村望子さんの自由に訛りを操るセリフが特に素晴らしく、序盤から芝居に集中できました。

本当に厳格な女子の教育と、いま自分が勤めている仕事環境(教育系)とがイメージが重なって尚更、世界に入ることができました。
特に、岡田コセさん演じる新庄先生の、先生としての枠と自分の本心との間の葛藤、その揺らぎを言葉にして、女生徒らと真剣に向かい合うシーンは、自分も彼ほど優しくはないが似たようなやりとりをして自己嫌悪に陥った経験もあるので、とても惹きつけられました。

もっとも、新庄先生は優しく素直に葛藤する人であるのに比して、僕は頑固で素直に怒っちゃう方向に行くので(笑 プーンとするんです)人としての出来の違いは歴然としております。

それはさておき、
「新しい女」、この芝居では、与謝野晶子、平塚らいてう―あるいは、菅沼先生らのセリフからは、海外のイプセンの『人形の家』が出てきます―といった人々がそういう女性に当たります。
今の時代ではどうということもないちょっとしたことが、問題になる。
そういった大人の押し付けに立ち向かおうと、はるかぜさん演じる光島、廣瀬さん演じる杉坂が回覧雑誌の編集を試みるわけですが。

それは必ずしも大人の圧力や反撃で空しく潰えるだけではなく、
揺れる年頃の異性への思慕があまりにもあっさりと(ことのはの酒井さんの言葉で言えば”儚く”)、その燃え上がろうとする炎を消してしまうのです。

光島は、力をたくわえてゆっくりと、戦っていこう(言葉は違うけれどそのようなこと)と杉坂を諭して幕は降ります。


なあんだそれじゃ結局普通の結論じゃないか、と一瞬思えた自分が残念(笑)
そうではなく。

いちばん知識を蓄え知恵を磨ける時期に自分にとっての道を開こうと抵抗したことこそが、誰にも何にも代えられない尊い価値として、人生の中でまばゆい光を放ち続ける、自分をその後も支え引っ張っていく思い出として生き続けるのだと、そんなことを確かめられる作品です。

普通でいい(笑)
むしろ、あのまま”新しい生き方”を求めて突き進むあまり、自分らしい生き方を見失う、そんな特別な道は危険ですらある。思想と現実との折り合いというのはいつの時代にあっても難しいものだと思います。
ただし、その結論が一時的に、保守的な大人を喜ばせたとしても、あの儚い輝きを忘れない人であれば、心の奥底で屈することはないはずです。
私もいまだに、大人たちに抵抗していきたい気持ちがあるので、ここはきっちりとさせておきたいところです。
普通であっても凡庸ではいけない。


ぴしっと心の入った、まじめな芝居で良かったです!

ただ、今回は、僕の緊張感が足りないということに反省です。

終演後、光島のはるかぜさんに、現代的な表現もあった、と感想を話したら、いいえ、明治のあの頃も、実際には、新聞に、わたし不倫しました、とか投稿もあったり、(現在に通ずるような)破天荒な時代の空気があったようです、という返事をしてくださいました。

本当に、よく考えて真摯に答えてくださって感謝です。

近代以降の日本の文化・風俗についての勉強なり雑学の習慣が足りない自分の現状を顧みる結果になりました。
それから、YSハート、仕事帰りとはいえ、元気が足りない。たくさん食べて、自分の勉強に時間を割け。
スティーリー・ダンの「ホワット・ア・シェイム・アバウト・ミー」(2000)のサビの歌詞を思い出した。

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以上、先週金曜日の池袋での観劇レポートを先にしました。


☆☆2018年2月21日追記
やめとこうかと思ったが、ツイートしておきました。
【先週シアターグリーンの演劇は、台詞が自分の故郷のほうの方言で尚更、惹きこまれた。落ち着いて真面目な内容で、あの時代のことをもっと勉強してから観るとより多くの発見があったかも知れないと今思う。】
。。なんか、ツイートの短い文のほうが、上手になってきた気がしてそんな自分が少し寂しく。
☆☆

☆☆☆2018年2月21日追記2
いま、追記していて思い出したんだけど、イプセンのノラは、他の作家などによって、”その後”ノラはどうなったのか続編が書かれたことがあったと聞いたことがあります。そのうちのひとつの話では、ノラが飛行機乗りになっていたそうです。
☆☆☆

さて、次は、今日、日曜日の夕方、両国Air Studioで、
両国駅から、てんやの日に390円天丼を食ってからのエアースタジオです。



GO,JET!GO!GO!Vol.7 ~そんなヒロシに騙されて~

2018年2月18日(日)18時の回に観劇

脚本:藤森一朗
出演:安城龍樹(JET)/五十嵐ほの香(あかね)/佐藤ゆうき(早紀)/野田怜奈(夏代)/渡辺菜友(美月)/
小野寺俊(大地)/森山小百合(メグ)/とりあえず城田。(マスター)/ヒロシ(山崎愛仁)


【ちょっぴり甘酸っぱい☆50's青春ラブコメミュージカル♪
出張中の秋絵がいぬ間に、羽根をのばすマスター・JET・あかね・メグ・大地。LOVEムード漂うsamasama店内。一方、そんな欠片もないGO,JETガールズ達!!!すると突然、謎の男が現れた!!!誰!??? さぁどうするGO,JETガールズ!?】(会場でもらったフライヤーから)


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GO,JETガールズの3人は、早紀(ピンク)、夏代(イエロー)、美月(ブルー)。
演じる人は、ゴージェット毎回異なるのですが、ガールズが早紀、夏代、美月の3人というのは今回も同じです。

このゴージェットのシリーズが、まだ続いているとと知ったのは、実は3日前のことです(すみません、知っているかのように書いてしまいましたが、3日前です;)

前に観たのが、2012年7月、東日本橋で、「Vol.5 涙のドライマティーニ ガールズにライバル出現!?」でした。実は、このブログで当時レポートしたので、2012年7月を探せば見つかります。
あのシリーズがまだ続いていたとは!

今回、『ゼロヨンヨン』(先月、新宿村にて上演)つながりの一人、野田怜奈さん目当てで来たのですが、同時に、この公演が、藤森一朗さん脚本の、あのシリーズだと知って、その興味もあって、足を運んだ次第なのです。

会場に当日券で入ると、懐かしい舞台が視界に飛び込んできました。
そうそう、この1950年代調のバーが舞台で、ここに3人の幽霊が住んでいて。
マスターや、その家族などメインの関係者には、3人が見えるし、会話もできるんだったな。
美月ちゃんのセリフにしばしば現れる、語尾の「だお」も久しぶり。

今回も洋楽を中心に、歌が入って、ミュージカル仕立てでの進行も楽しみでした。
おなじみ、「オンリー・ユー」(プラターズ、1955年)も歌われました。

クライマックスに、年老いたヒロシが訥々と語るシーンは、不覚にも涙が出てしまいました。
どうして、冷たくて氷のハートを持ったYSハートが泣けるのか。
しかも、女の子の可愛い役者のシーンでなく、老人男性(演じているのは若い時代のほうも含めて山崎さん)のセリフで。
ここでは、舞台上の小野寺さん、森山さん、佐藤さんなども泣きそうな顔で、なんだか感情移入してしまいそうな雰囲気が、どこか情が豊かでほのぼのしていて、よい時間でした。

今日夕方は、Bチームだったので(ABCの3チームが期間中交互に上演します)、台本はBチームのものを買って読んでいますが、ヒロシの箇所は、本当に共鳴してしまう。

「あれからどんな人と会ってもミッツの顔が浮かんできて、
結局、結婚もしないまま、こんな年寄りになってしまいました」と。

今だから、わかることもある。
でも、今わかっても、あのころには、もう、戻れないのです。

彼は、恋と愛の違いを教えてくれます。
こういうことは、本当に僕自身も、今だから、よくわかるんです。
わかる人はたくさんいると思いますよ。
年を取らなくてもわかるし、年を取った時、もっと思い知らされるだろうという予感もあると思うし。


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☆☆2018年2月21日追記
思い出したことですが、菜友さん演ずる美月ちゃんが、なんで人は寂しいっていう感情があるのか聞いたら、ヒロシが、だから人を好きになれるんじゃないかな、と答えるところは、良かったです。時代を50年代に設定してそれに合わせた趣のやりとりを意識された台本かどうかわかりませんが、難しくも単調でもなく、的確な言葉の選び方だと感じたのでした。これを書きたかったということを思い出したわけです。
☆☆


終演後は、野田怜奈さんとチェキを撮ってサインをしていただきました。『ゼロヨンヨン』とは違う役柄で、今日も登場した時、えー、夏代の役とは意外!と思ってしまったほどです(笑)
それが、さまになるからsamasamaも不思議なお店です。


そのようなわけで、2012年の観劇から、実に、6年半を経て、再び訪れた、ゴージェットゴーゴーの舞台でした。


応援というのも、普段の友人や家族、同僚とは異なって少し離れた世界の人々との交流とはいえ、
同じ人間のやりとりです。
6年半前に、今のような特典会の風情は、まだ確立していませんでしたが、終演後の握手や撮影はできました。
あのころ、
もう少し話をして、
自分の応援の気持ちをもっと自然に伝え続けられたら、

そう思っても、

本当に、人と人の出会いは儚いものです。


人の心はたやすいものではなく、

応援されることがいつも受け入れられるわけでないかもしれず、


例えば、自分(YSハートのハンドルネームを使っている私という人間)が、
普段のように自然であろうとして、応援に特別な変わった意味合いも込めないで、
共感している、という気持ち、純粋な気持ちであることを見せたとしても、
その通りに受けとられない場合もあるし、受けとる意思が相手にあっても何かの事情でそれが、
かなわないこともあるのでしょう。


11年11か月に及ぶ、このブログを通しての応援というメッセージ、レポートは、決して、
容易ではなく、
むしろ大きな課題、十字架のような枷を、自分自身に突き付けてしまっているのかもしれないと、
相手に何かしら影響を与えようとしたために自分が受けるべき報いが、
すでに自分に与えられているのだろうと、
そのように思って、
複雑な気持ちが過ることもあります。


そして、このブログは、来月初めの休日に、12周年を迎えます。



【補足】
この記事に関連するツイートは、【両国AirStudio、ゴージェットゴーゴーVol.7観劇。『ゼロヨンヨン』野田怜奈さん夏代に扮して好演。藤森氏脚本のシリーズ、自分は6年半ぶりに観たという意味での懐かしさも覚えた。ヒロシ独白は演じる人も涙、自分も不覚にも涙した。明日まで。】としました。#GOJET

23時55分にツイートを送信。ゴーゴー!縁起がよいはず。

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この記事へのコメント

2019年08月06日 21:50
1年半も前のブログへのコメント、失礼します。
たまたま、何かの拍子で、こちらの記事に出会いました。
「見よ飛行機~」で菅沼先生をやっておりました木村です。

今さらとは思ったのですが、このままスルーするには、あまりに勿体ない、うれしいお褒めの言葉だったので、ひと言だけ、お礼を申し上げたいと、コメントさせて頂きました。

本当にありがとうございます。
何よりもうれしいお褒めの言葉でした。

そして、記事全体の、深く、愛情にあふれた評を、とても面白く読ませて頂きました。
こんな出会いがあると、SNSもいいものだなと思います。
これからは、時々、覗かせていただきます。
2019年09月15日 08:50
木村さま、お早うございます。

このたびコメントいただき、ありがとうございます。私自身が、ここ2か月こちらに来ておらず、また、以前の記事にコメントいただけると思っておりませんでした。
とても驚くと同時に、演劇のご出演の方から感想がいただけて、とってもうれしく思います。

このブログ、7月から仕様が変更されて使いづらい事情で、更新停止していました。ご返事が遅くなりまして、すみませんでした。

木村さまが今年の池袋演劇祭でもご出演なさることを知りました。今後ともご活躍を、お祈りしております。

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