【夏休みシリーズ2015・最終回】海街diary

この映画は、秋が訪れるまでの物語なのに、これを公開中の映画館は、8月下旬の現時点で、すでに、全国で数えるほどしかない。残念なことです。


『海街diary』
監督/脚本/編集:是枝裕和
撮影監督:瀧本幹也
音楽:菅野よう子
原作:吉田秋生
キャスト:綾瀬はるか(香田幸)、長澤まさみ(香田佳乃)、夏帆(香田千佳)、広瀬すず(浅野すず)、
樹木希林(菊池史代)、大竹しのぶ(佐々木都)、堤真一(椎名和也)、中村優子(浅野陽子)、
キムラ緑子(高野日出子)、加瀬亮(坂下美海)、池田貴史(浜田三蔵)、鈴木亮平(井上泰之)、
前田旺志郎(尾崎風太)、風吹ジュン(二ノ宮さち子)、リリー・フランキー(福田仙一)
 ほか
※カッコ内が役名

【公式サイト】 映画『海街diary』公式サイト

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この映画の終盤、幸とすずが高台に上ったシーンで、ツクツクボウシが鳴いているのが聞こえます。
ツクツクボウシが鳴いているということは、その時期は、ふつう、8月のお盆過ぎでしょうね。

私がこの映画を映画館で最初に観たのはだいぶ遅くて、

今月初旬だったのですが、

その時点(だいたい8月6日ごろだったと思いますが)で、ツクツクボウシの鳴く時季を前にして、日本全国のほとんどの映画館で上映が終了されていったのは、どういうことか!?と思いましたよ。

それはともかく、このひさびさに安定感のある(外国人にも自信を持って紹介できる)映画を、私は2回観ることができて、ほっとしています。
愛知県でもまもなく、公開は終わるかもしれませんが、名古屋のピカデリーで観ました。

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【パンフレットから】
家族を捨てた父が、のこしてくれた家族。
両親を許せない長女、姉の幸せを願う次女、
父を知らない三女、自分を許せない四女。
それぞれの想いを抱え、
四人が本当の家族になるまでの一年間の物語



とにかく、風景が美しい。

江ノ電の風景が、自分の日常生活にとって、もっと身近なものになればいいのに、と、
すでに首都圏に住んでいない私は、つくづく思います。
七里ガ浜の交差点、ひさしぶりに、映画で意識して観ました。いいなあ。(鎌倉の花火大会のシーン)

山形県のローカル鉄道は、実際は、わたらせ渓谷鐵道がロケに使われているようで、これも、小旅行で行ってみたいのですが、愛知県からだと、”小”旅行にはなりません、残念。



演技のほうでは、

樹木希林さんが往年の不思議な個性を発揮されていて、面白いです。パンフレットには、「日本映画界において無くてはならない唯一無二の存在」とまで表現されていますが、この映画でも、幸と母親がやりあうのを止めるシーンのテンポは独特なこの人ならではの威力がありますね。
子供のころ、郷ひろみとのデュエットで「りんご殺人事件」など歌っていらしたころは、変な人だなあ~と思っていたものです(笑)名前も、私はすぐにわからず、キキキ リンさん、だと思っていました。

最近では、映画に関連するイベントでのあいさつを聞いたり読んだりするたびに、知的なご指摘や言葉にインスパイアされます。


広瀬すずさんは、この映画でたぶん初めて見たと思います。
マスメディアでは、好き嫌いがいろいろ分かれて書かれているようですが、この映画では、かわいらしさが自然に演じられています。こういうよさを大切にしていってもらいたいです。


幸と佳乃が部屋で語らうシーン!綾瀬はるか長澤まさみ、かなり気持ち入れて見てきた女優さん二人です。あらためて、すごい競演だと感じます。世界の中心で愛をさけびたい者として、ですね(笑)

綾瀬さんのこういう凛とした役柄が好きです。
長澤さん演じる佳乃が出かけるときの、忘れ物がやっぱりないことを確認して、すずちゃんと駅まで急ぐシーンとか、ダイレクトな感情の表し方が面白かったです。

夏帆さんは、以前の自然な感じがよかったのですが、ここでのキャラクターもなかなか良いです。レキシの人、ああいう人に恋慕?する感じは、どこか安心させられます(笑)

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カンヌ国際映画祭の時、海外メディアでは、評価が分かれたようですが、何もない何も起こらない、何も変わらない映画、などと言われても、私はといえば、スクリーンに集中して飽くことのない作品でした。

台詞ごとに、話者の顔にカメラが切り替わるシーンなどは、小津安二郎監督の撮影技法へのオマージュかはわからないけど、これからの日本の良質な映画、美しい映画に希望をいだかせてくれる気がいたします。

最近の私自身は、基本的に、こういった、破綻がなく、静かに感動できる日本映画をもっと見たいと思っています。

すずちゃんの桜のトンネルのようなシーンは、これまでの映画なら、悲しいことを示唆して、あとで何らかの破綻とか挫折があったときの回想的な役割を持ったかもしれないけれど、この映画では、すがすがしいものをそのまま受け取る幸せ、あるべくしてあるものへの喜びを感じられる、そういう雰囲気を、私はいいと思います。

勿論、人はいつも同じように平穏無事ではなく、永遠の別れにも遭遇する(この映画では二ノ宮さんが亡くなる)。
でも、それも穏やかな年月の流れの一部として、みんなが(この映画では、四姉妹が)成長するための力を与えてくれます。

そして3人が喪服で、ただ一人、すずちゃんがセーラー服で、砂浜の波と戯れながら、物語は幕を閉じます。。


キーワードのひとつは、”居場所”だったと思います。
私たちは、不安な状況にあるとき、自分の居場所はここなのか、それ以前に、自分に居場所があるのか/あっていいのか、と悩むのですが、解放されるために、どんな道をたどるのでしょうか。
そのとき、家族は、自分にとって、どうあるのでしょう。

この映画は、6月13日全国公開で、当初は、映画界の例にならって、イベントが目白押し、宣伝にあふれていましたが、それにのまれそうなことが、私にも何度もありました。
しかし、そろそろ、本当にいい映画をしっかりと観たいし、宣伝の渦に巻き込まれて、本質を見失うようなことは避けたい、余計な経験はしたくないと、さんざん葛藤して、しまいには、映画を観に行く時間をとるのも難しくなったりして。。。
それで、この時期になりました。
2回は観たいと、思える邦画に、2015年に出会えたことが何よりの幸せです。







さあ、そのようなわけで、2015年の夏の日も、あとわずか。

初めに書いたとおり、私には遠出のほとんどない夏でした。

名古屋・愛知で、ほぼ足りていましたね。

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昨日は、もう一度イオンモールへ行って、予約してあったガールズユニット・9nine(ナイン)のCDを手に入れ、仕事の合間に、時間を見つけて、もう一度、あの映画『日本のいちばん長い日』を観て、「終戦の詔書」のレプリカをもらってきました。

また、今年の夏は、洋楽のテーマで、英語の勉強がてら京都・一乗寺へ行ってきましたが、これは、とてもいいきっかけになりました。
洋楽については、新しいブログを始めたので、そちらでCDレビューなどやっていくことにしました。
よろしければ、また、そちらへもご訪問お待ちしております。


ともかく、今回の夏休みシリーズは、日本のほうぼうをまわるわけでもない地味な動きでしたが、大切な転換点を迎えられたと思っています。
ysheartのブログの2015年も、早いもので後半戦に入っていきます。
では、秋からも、よろしくお願い申し上げます!

- 夏休みシリーズ2015 おわり -

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