【夏休みシリーズ2012】8月24日、出会いと別れを想う ―おおかみこどもの雨と雪―

【夏休みシリーズ2012 前回(第8回)までの展開】

当ブログにて、本格的な夏の到来を受けて、オリンピックの応援や夏のロックフェスティヴァルのレポートを軸として、自分の想いを綴り始めたが、社会も自分自身も、帰国前とはすでに大きく変化しつつあった。公私とも自分の生き方、方向性について、以前の延長にある行動に出ながらも、新しい発想で現実を観ながら行動すべき時が来ているのを感じる私であった。このブログでは、その一環として先ず、夏フェスレポートの終了を決めたが、そのうえさらに、大きな転機を迎えなくてはならない…

自分一人が立ち止まろうとしても、他人は誰も、自分を追い越して、先へ先へと変わって行ってしまうからです。



―― 第9回 ――


さて今日は、日本のアニメ映画の観賞でした。数日前には吸血鬼がらみの映画でしたが今度は狼男です。

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おおかみこどもの雨と雪 → 公式サイト

【原作・監督】細田守【脚本】細田守、奥寺佐渡子
【主題歌】アン・サリー「おかあさんの唄」
〈上映時間:117分〉
【声の出演(カッコ内が役者名)】花(宮崎あおい)/おおかみおとこ(大沢たかお)/雪の少女期(黒木華)・幼年期(大野百花)/雨の少年期(西井幸人)・幼年期(加部亜門)/草平(平岡拓真)/ 草平の母(林原めぐみ)/細川(中村正)/山岡(大木民夫)/韮崎のおばさん(片岡富枝)/田辺先生(染谷将太)/ 土肥の奥さん(谷村美月)/堀田の奥さん(麻生久美子)/韮崎(菅原文太


想像していた以上に惹き込まれて、時間が経つのを忘れそうでした。それがまた、意外でした。
人間が狼男と婚姻して、その子供を育てるという、荒唐無稽な設定でどこまで感情移入できるのかと訝っておりましたが、その設定がかえって、現実の子育ての問題を浮き上がらせて、考えさせられる局面がいくつも出てくるため、退屈するということがありませんでした。
加えて、雨と雪の無邪気な可愛さや、小学校でのいろいろな思い出がオーバーラップしてくるような事件の数々が、問題の深刻さから少し解放させてくれて、物語にメリハリをつけてくれていました。

ラストは不覚にも涙が出ました。
最近、しょっちゅう体から発汗しているので、たまには、眼から水分を出すのもいいかも知れないな…(-_-;)w

作画の感じは、前作「サマーウォーズ」とは、また違った、透明感ときめ細かさがあって面白かったです。

それにしても、序盤の、花と彼との性的なシーンは大人向けで、子ども連れの人にとっては、見せづらいところですね。最近、アニメ作品へのアプローチは、こういう点で難しくなっている気がします。
もっとも、細田監督のこれまでの3作品いずれも、小さな子どもには理解が難しいでしょうから、大人が考えて選ばないといけません。
子育てのいろいろな問題も、これは大人じゃないと、面白さに入っていけないと思います。


ちょっとしたことだけど、花が都会から田舎に逃れて、廃屋をきれいに改装して生活を始めるくだりでは、田舎の人たちが、若い人でなくて定年過ぎたような人が、その生活に慣れずに出て行ったという話をしてくれる場面がありました。これはまさに、いまの時代の現実を示唆してくれている気がします。
いまどんなことでも、必死でひたすら頑張るのは、人生経験のある定年過ぎの人々よりも、若い人たちだったりするわけです。万事そうであるとは言わないけど、そういう場合が多いようです。
私の仕事の環境でもつくづく感じることです。
花がいうように、いつのまにか、周りの人の世話になっている。人は、人間関係なしでは生きられないのですが、そのことを今の多くの日本人は忘れています。


最後に、菅原文太さんの韮崎の存在は見ごたえがあって、また、後半はあっさりしているのがまた良かったです。

…文太さんは、今年前半に、(震災の影響との関連で)いまは映画を撮っている時ではない、映画を観たいとは思わないだろうという趣旨のお話をされて引退を示唆されたのを憶えています。
私は、日本の映画については、表現作品が、震災の後の復興期であり国の内憂外患の深刻な時期に、日本社会でどういう意義を持っているのか、よく考えて作ってもらいたいと思っています。そういう意味で、文太氏のおっしゃることに共鳴できたのでした。

で、ここから私の考えですが。
震災直後は、被災者の沈んだ気持ちを元気づけよう、日本をこういう時こそ明るくしよう、ということで芸能人の活動が大きな意義を持ったのですが、いまはどうも、かんじんな多くの問題を直視するのが恐ろしくて浮かれ騒いでいる、そんな気がして、映画も含めて、日本の文化的事象すべてに、私は、なかば絶望的なものを感じています。

男性が“草食系”などの言葉で実際にも社会的に脆弱になり、また、女性とくに若い可愛い女性がもてはやされて男性の生活の領分を脅かし、男性もまたそれでよしとして、業や誘惑から逃れる勇気を持てない。目先の心地よさばかりを追いかけている…
わたしには、いまの日本社会が、そんなふうに見えます。

たしかに私自身、このブログで女優さんや女性選手を応援してきていますが、甘い空気に溺れたつもりはないし、かような、かんじんの時に言うべき言葉を使って為すべき行動がとれない、他方でアイドルやタレントのスキャンダラスでまともじゃないニュースが翻弄する現実に明確にノーと言える態度は持ち合わせているつもりです。

もともと当ブログは、スポーツの応援ブログから派生していますが、最近のいくつかの事件や「いじめ」など社会問題と芸能・有名人の周辺のニュースを見るにつけ、そのような、人が気持ちよく生きていくうえで障害となるような問題をメディアを通して次々に流してくる世界から、ことさらに話題を取り出し続けることについて、ここらで反省しチェックして、自分の立ち位置をはっきりさせておくべき時が来ていると思います。

日本と日本人ほど恵まれた国、人は世界に類を見ないのにもかかわらず、その恵みに甘えている。






ただ、この映画は、なかなか良かったです。
実写の邦画よりも、よいものが、アニメの分野からは出ている、そこは複雑に感じる部分もありますが。


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今後も、アニメを通して国際交流に貢献しようという意味で、この細田作品は観て良かったです。
「おおかみこどもの雨と雪」については、以上ですが、そのアニメ調査という観点から、この夏休みシーズンに、私ysheartはわりとよく動きました。

最初に、先月30日には、ラゾーナ川崎で、AKINO with bless4のミニライヴを観ました。

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「アクエリオンEVOL」LOVE@New Dimension発売記念ミニコンサート、ハイタッチ会

1.創聖のアクエリオン/2.君の神話/3.月光シンフォニア/4.荒野のヒース/5.Go Tight!/6.ZERO ゼロ/7.Genesis of LOVE(ア・カペラ)

大体こんなセットリストだったと思います。詳しくなくて申し訳ありません。
かの国での授業で、彼女らのライヴを映像で見せたのですが、実際、ハイタッチして挨拶すると、AKINOさんは、パワフルというよりも、想像を超えてお姫様みたいにかわいらしい方でした。


また、今月半ばには、実家の近くのシネコンで、映画『NARUTO THE MOVIE ROAD TO NINJA』を観ました。
私は、NARUTOをほとんど観たことがなかったので、参考までに観ておこうと思ったのでした。
かの国の日本語クラスでは、女子学生のズ・ブリオ・デが、「NARUTO疾風伝」を観て気に入っていました。

今や、自分のアニメ資料散策は、仕事の一部になっております;

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今日の記事は、最後に、前回(第8回)に本来書く予定だった、邦画レビューをしておこうと思います。

早稲田松竹で、亡き相米慎二監督の1985年の作品『台風クラブ』を観ました。風が涼しく少しつよめに吹いているので、この作品を観るにはなかなかよい日でした。早稲田松竹は、当ブログでもたびたび登場しますが、高田馬場にあります。

夏の終わりと言えば、台風。台風を境に生き方がふたつに分かれるという明示、暗示(出会いと別れ)がある点で、『おおかみこども…』と『台風クラブ』では、共通性があるかもしれません。

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同じきまりで決められたような日常を破る、わくわくする台風の到来。
それを機に、それぞれの中にあったものがあふれ出し、また、爆発する。

私も、中学生だった頃は、台風で臨時休校になったりする時の、あの非日常の解放感覚が好きでした。
本作でも、そんな時に、それぞれの生徒にそれぞれに不安定な兆候が表れるのです。
また、彼ら彼女らは、3年生ということで受験をひかえている。そのことも、何か変な感じ、に拍車をかけているのでしょう。

この作品で面白いのは、大人、親たちがほとんど不在であること。ひとり、暴れ者のようでありながらどうにか生徒たちを統括していた数学教師(三浦友和)も、やはり、生徒たちが当てにするにはどこか問題がある。そんななかで、自分たちはどこから来てどこへ行くのか、確かな自分を探して、暴走するのです。女子生徒がレズ行為で互いを求めたり、踊っているうちに、下着になって、それも脱いで、ついには全裸になってしまったりするところは、それぞれの居場所探し、見えない不安への抵抗、制度や常識への試みの反抗・解放への憧れを示していると見ることができます(遠くから長回しで撮っているのがイイ)。
そして、観るほうも、「もしも明日が…」のシーンに象徴される、無防備で徹底したエロに満足するだけでなく(コラ;)、これから先への不安と好奇心とがまぜこぜになってどこかよくわからないあのころの心理や行動を思い出して、そこに卑猥な感覚を昇華させて解放感を見出すことができるのではないか、と。
(これから先への答えを求めて、死生観にまで及んでみても、まだまだ死を考えるには早すぎるのだということが、三上の飛び降り行為の結末に暗示されているようです)
最後のシーンで、理恵と三上でなく、理恵と明(いちばんショボめの男子w)の2ショットで、休みの学校にポジティヴに向かっていくのが大変興味深いトコです。金閣寺みたい、という台詞はユニークですが、これを持ってくる台本が鋭いセンスだと感じます。
1980年代らしい、いまひとつの構成だと感じるしチープな描写もありますが、青春映画はこういう感じで撮ってほしいと思える映画のひとつの典型だと思います。


出演:三上祐一/工藤夕貴/大西結花/会沢朋子/天童龍子/渕崎ゆり子/三浦友和/鶴見辰吾、ほか

※天童龍子さんのストーリー上のポジションと、ショートカットの容貌が好きです。
※長野県佐久市、小海線の中込駅などがロケ地。
佐藤浩市さんは、工藤扮する理恵が雨の中歌ってさまよっているときに後ろにちらっと出て去って行った人かな、と思ったが、そうではなく、駅員の役で出ているとの情報あり。



そのようなわけで。
雨のような別れもあれば、雪のように今ある絆や身の回りの幸せを選ぶ道もある…

このブログも、別れが辛くても、自分の想いから外れてしまった人々や物事へのかかわりを、続けるわけには行きません。実生活でも、勿論それは、同じことです。
そして、そのような人々にも、この変化をよく、心にとめて己を顧みてもらえれば、と願っています。
そのことが、ふたたび、次の希望への回復と、新しい力になるから。

これまで私の生きる力になってくれたことを感謝しています、ありがとう。


…!!!


― 夏休みシリーズ第9回おわり/最終回へ つづく!―

※2012年8月25日に、加筆しました

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