今年6月初め以来、半年でこの劇場に再訪。今回のサンモールスタジオも、僕にとっては”問題作”でした。 キコ/qui-co. 9th conversation 『神の左手:coda』 劇場 : サンモールスタジオ(東京メトロ丸の内線「新宿御苑前」駅大木戸門口歩4分) 戯曲/演出/構成 : 小栗剛(qui-co.) 出演 : 【会場内でもらう紙に載っている順番だと次の通り】 鶴町憲、川上憲心、小栗剛(qui-co.)、山田奈々子、東澤有香(qui-co.)、佐藤健士(qui-co.)、 春名風花、太田旭紀、川船敏伸、家田三成、百花亜希 【外でも入手できるフライヤーの順番では次の通り】 佐藤健士(qui-co.)、東澤有香(qui-co.)、百花亜希、鶴町憲、川上憲心、春名風花、家田三成、川船敏伸、太田旭紀、山田奈々子、小栗剛(qui-co.) 全然、予備知識なしで観たのですが、110分の上演時間は速く過ぎていきました。 人の死を生業にする仕事場は、ブラックな感じがあるとはいえ、どこにでもありそうな社員同士のやりとりを見ている気がする。でも、葬儀のお願いの電話が鳴りやまなくなっていき、その死亡者と原因にある共通項が判ってくるにつれて、従業員それぞれが心のバランスを崩し始めると同時に、日頃の誤魔化し・偽り・それぞれの異常性が晒されていく。 冒頭に、不思議な左手を持つ女性が、居眠りする男性を見ている場面の意味は、それを忘れかけた終盤でつながることになりました(笑) しかし、”神の左手”というのは、SFホラーのような特殊なものというよりは、絆の手掛かりとなる何かを象徴していたのだと思います。 ともかく、その異常事態が覆う現実の下で、それぞれが男女の問題で葛藤するところに、自分の経験がオーバーラップする瞬間もあったりしまして(性行為そのものが想起されるとかいう意味ではありません;)。 言葉の諍いは、結局、何も解決しないし、じゃあ、態度や行動で見せるのかといった単純な二項対立であるはずもなく。 性行為自体が招く結果も、そこに相手への誠実な想いの有る無しと必ずしも対応するものではなく、 ここで葛藤する男女は、誰もすごく微妙なところで折り合っているなあと思えたし、 だから、反対に言えば、どの組み合わせでも、どこで壊れてもおかしくないなあという想いで、 要するに、二人がつながる決め手が何なのかという答えは、わからない。 後で、フライヤーで読んだところ、これは再演作品で、 衝撃作との評があったようですが、そのわからなさが、劇場を出ていく時の皆さんから離れなかったのではないかと僕は思っています。実際は、それもわかりませんが(笑) 誰が絶対的に主役かということも、そのようなわけで決まっていないと感じました。 今日は仕事帰りで、また、少し体調がすぐれなかったので、ここまでしか書けませんが、はるかぜちゃんの忘れられない演技を思い出しながら、このあと、また思ったことを追記する予定です。12日まで公演。 【2017年12月10日追記】 序盤で、おバカな高校生が出てきて、「襟裳岬」を歌詞を思い出すように速い調子で歌う場面とか思い出すと、 やっぱり、この役は、はるかぜちゃんで良かったなと思うわけです。 佐藤さん演ずる生き方の下手な男性との、言葉のパンクなキャッチボールは、あれで、ずっと終盤まで通してほしいと思えたぐらいです(笑) でも、その楽しさが、演劇の展開によくあるように、どん底のような虚しい場面に置き換わるのです。高校生が凌辱されて、それを目の前で起きているのに止められない男性。 これを観ていると、楽しかったはずの男性たちが、性行為にとらわれた途端に、暗く寂しげになるのはどうしてだろうなと考えてしまいました。 …男性の体液が前面に出てきた途端に、こんなにも楽しさというものが場から消え果ててしまう。 何かにからめとられて、コミュニケーションが捗らなくなるように見える。 性行為から離れて男女の諍いについて考えても、 大体が、女性の詰問に対して、男性が説明しようと始めたところから、男性はだめになるという気がします。 そして、どんどん情けなくなっていく。 チューリップの「虹とスニーカーの頃」の冒頭の歌詞が思い出されますが、 そうやって、男性に何かを託せるほど、今の男性は頼れる存在では、なくなっているのか、と、 要するに、 日本の現実を見ているような気分ですね。男性が路頭に迷っている現実の社会を思うんですがね。 そういう意味でかもしれないですが、これは、2回以上観るのはキツイ作品です。1回で、観る側に何かがしっかり与えられてしまうからではないかなあと思います。 ともかく、2017年も、初演の2014年あたりから続く、不安定な社会情勢があります。 むしろ、どんどん、世の中は、ひどくなっていて… 【2017年12月12日追記】 「神の左手」公演全ステージ終了、スタッフ&キャストの皆様、おつかれさまでした。 はるかぜちゃん、おつかれさまでした。 ご本人もブログに書かれているように、高校生の声優さんの仕事としては、かなり冒険されているなあと。 ダークファンタジックな女子高生だなあと(笑)、そのように思います。 今年は、それまでの念願がかなって、はるかぜちゃんの公演をいくつも観ることができました。 一度は挨拶もさせていただいて、こちらも、元気をもらいました。 さらに元気をもらうべく、 実は、時々、NHK高校講座・国語総合を聴いています(▼ ▼)y-゜゜゜(笑) いえ、それが、結構、勉強になるのです。 私も、日本語にかかわる仕事をしていることもあって、高校生の時の感覚で国語全体(古文や漢文も含めて)を見直すのは、とても新鮮な体験になっています。 国語というのは、理数系と異なって、決まった答えがない部分もあって、無限の面白さを持った分野です。日頃のできごとについて考えたり、自分自身を見つめ直したりすることを、少し気持ちを楽にして取り組めます。 そして、おのずから、読書の習慣も回復できています。 だんだん、自分が、ysheartが戻ってきた。 はるかぜちゃんを当ブログで応援できることは、まさに”人を得た”という想いです。 ところで、来年初めの公演がアナウンスされていますね。 今度も、サンモールスタジオ。。( ̄  ̄;今度は何を。タイトルからして楽しみです。 ※書いているうちに、日付が変わりました。 |
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